カギとなる「D to P with N」

訪問看護の現場でもオンライン診療が取り入れられています。その際にカギとなるのが、ここで紹介する「D to P with N」です。

カギとなる「D to P with N」

D to P with Nとは

D to P with Nとは

D to P with Nは「Doctor to Patient with Nurse」の略で、日本語にすると「看護師が訪問している患者に対して医師がオンライン診療を行う」という意味になります。オンライン診療は基本的に、初診で対面診療を行い、診療計画に基づきながら疾患を持つ患者に対してオンライン診療を行っていく、という流れになります。新型コロナウイルス感染症の拡大により対象は広がっていますが、初診でオンライン診療を行うのはあくまで例外です。そのため、慢性疾患を持つ患者がオンライン診療を受け、その患者が訪問看護を利用する際にも診療計画が用いられます。訪問看護師は診療計画に基づいて作成される訪問看護指示書の内容に沿って必要な処置を行うため、オンライン診療の場に患者宅で立ち会うのは想定外となります。
しかし、訪問看護を必要とする患者は病態が不安定なケースも少なくないため、オンライン診療の際に予想されていない症状を発見する可能性もあります。その際に看護師が患者の傍にいれば、その場で追加的な検査が可能となります。疾患のリスクを早期に発見できることから、D to P with Nには大きな期待が寄せられており、需要も伸びています。厚生労働省も2019年にオンライン診療の実施における指針を改定し、D to P with Nに関する項目を追加しました。それに伴い、訪問介護指示書の「特記すべき留意事項」には、オンライン診療の診療計画において予測された範囲内で看護師の診療補助行為に関する記載が必要となっています。

医療機関側のメリット

医療機関側のメリット

D to P with Nの普及は医療機関側にとって大きなメリットがあります。現状、オンライン診療を重視している特定の医療機関を除くと、そのほとんどは対面診療がメインで、ある意味片手間でオンライン診療を行っています。本格的にオンライン診療を行うためには導入に関する様々な課題を解決し、環境を整えなければなりません。患者側で準備しなければならないことも多く、そういった中で現場に看護師がいて診療の補助をしてくれるのは、医療機関にとっては1つの安心材料になります。

各所との連携が必須

各所との連携が必須

オンライン診療におけるD to P with Nでは、医師と看護師がしっかり連携を取っていなければなりません。病院と訪問看護ステーションなど、それぞれ異なる職場に勤務するケースも考えられるため、情報を事前に共有する必要があります。患者やその家族への対応も大切ですが、オンライン診療に携わる医師や医療機関とスムーズに情報を共有できる体制を整えなければ、十分な医療を提供することはできません。

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