現状と課題について

2020年10月の時点で、全国にある医療機関の15%がオンライン診療を導入しています。この数字を見てわかる通り、まだまだ普及が進んでいるとはいえない状況です。オンライン診療の現状と課題について見ていきましょう。

現状と課題について

普及率は低い

普及率は低い

オンライン診療の普及率が低い原因としてまず挙げられるのが、対面診療とオンライン診療の診療報酬点数の差です。直近の診療報酬改定以前まで診療報酬点数には大きな差があり、それがオンライン診療の普及を妨げていました。再診料は近い水準ですが、計画的な指導・療養管理に対する医学管理料では、対面診療が最低225点であるのに対してオンライン診療は一律100点と、大きな差がありました。
また、時間の問題も挙げられます。オンライン診療は対面診療の合間などに行われるため、これまで以上に現場の負担が大きくなってきます。そのため、積極的にオンライン診療を導入する医療機関が少なかったと思われます。
ITリテラシーに関する課題も考慮しなければなりません。2018年に行われた調査によると、医療機関の経営者の平均年齢は約60歳であり、ITに不慣れな世代です。そのため、新たなITツールを導入することに対して抵抗感を持っており、患者も高齢であることからオンライン診療の導入に二の足を踏んでいます。

オンライン診療の課題

オンライン診療の課題

オンライン診療の課題として、通信不良によるトラブルがあります。通信環境の質が悪い場合、診療に必要な情報のやり取りができなくなってしまいます。ネットワークの不調だけでなく、騒音による音声トラブルなども含まれます。また、対面診療より診療報酬点数が低いため、収益率が悪い点も改善しなければなりません。オンライン診療の導入にはコストや労力を必要とするにもかかわらず、十分な収益を得られないのであれば医療機関側としてはメリットがありません。
対面と比較すると、診断のための情報が十分に得られない可能性がある点も課題として挙げられます。直接触れられず、画面越しで診察するため、医師が診断に困るケースも少なくないようです。例えば、部屋の照明の具合によって医師側に見える患者の顔色は大きく変わってしまいます。加えて、頻繁に検査が必要な疾患はオンライン診療には向かないでしょう。

今後

今後

現状ではオンライン診療の普及率は高いとはいえません。しかし、今後は技術の進歩によって状況が改善されていくことが予想されます。オンライン診療に関するデジタル技術が発展し、安全かつ効率的に診療できるようになっていきます。複数の医療機関と情報を共有するための環境整備も進められており、今後はより需要が伸びていくでしょう。

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